出過ぎた杭は打たれない

ここは途中だ 旅の何処かだ

冷然とした東大理系卒の雑記帳

上海滞在記(2019/3/17~27)

 自分の主観も多々入っていると思いますが、2019/3/17~27の期間に、初海外として上海および上海近郊の地方都市へ行った記録です。これから行く方にも参考になるように書いたつもりです。ネット環境お金食べ物言語街の様子や治安交通日中のカルチャー教育と学生生活その他個人的な感想といったカテゴリーでそれぞれまとめました。
 

外灘の夜景@上海

 

ネット環境

フォートラベルのGlobal Wi-Fi1300MB40円でレンタル出来た。ただし、これだけだと日本でよく使うSNSGoogleが使えない。
・そのため、VPNを別に契約した。自分はセカイVPNを使った。時期によってネット環境が変動するらしいので、今使えるVPNが今後も使える保証はない。
・一緒に行った人は現地でチャイナモバイルのSIMを契約していた。
 
 

お金

・基本アリペイとWeChat(微信)ペイといったQRコード決済が何処でも使える。QRコード決済が使えなかったのはディズニーランドの一部の店ぐらい。WeChatペイは渋谷ドンキや大学内にあるポケットチェンジを使えば、日本国内でも入金できる。
・一方、クレカが市内で全く使えない。本当に使えない。マジで使えない。ATMでのキャッシングには使える模様。
・偽札対策として特に最高額紙幣100元札が使えないところが多い。それ以下の額の紙幣、1元や5角の硬貨は駅の券売機とかで普通に使える。
 
 

食べ物

・外食は中華料理が多い。世界的なチェーン店も中国テイストにアレンジされている。マクドナルドはお粥が出てくるし、ケンタッキーは小豆味のドリンクが出てくる。
・中華料理自体のレパートリーが多いので、短期間の滞在では飽きない。
・市内に朝から営業している飲食店が結構ある。20元ぐらい(日本円で320円ぐらい)で質と量ともにしっかりしたものが食える。
・一方、コンビニで売ってる保存食(カップラーメンとかお茶とか)は日系企業が中国で生産しているものが多い。空港の土産屋で売ってる菓子で真っ先に目に入ったのがご当地プリッツで笑った。
日本のコンビニが至る所にある。自分が見た感じファミマとローソンがツートップでセブンイレブンもたまに見かける。
 

 
 

言語

・飲食店などでは基本、中国語表記しかない。英語表記はたまに見かける程度。日本語は全くない。メニューが手元になくレジの奥にあったりしたので、メニューの写真を撮り、欲しいものを指差して注文したりした。
・今の日本ほど中国はインバウンド対策に熱心ではないことを感じた。中国人だけでも膨大な数がいるので、基本的には中国語表記だけで、さらに英語表記ぐらいあればもう十分だとは自分でも感じはする。
・地図はGoogleマップが役に立たないので百度地図を使った。百度地図は中国語しか対応していない。中国語選択じゃない自分でも漢字の雰囲気や翻訳アプリで大体読めた。結構便利。
地球の歩き方最強説。日本語であれだけの情報が載っていて、なおかつ比較的安価な本はなかなか無いと思う。持って行くべし。
・普通に日本人だと分かるらしく、たまに日本語で話しかけられた。
 

 
 

街の様子や治安

PM2.5が心配だったが、滞在中は曇っておらず、一度もマスクはつけなかった。WeChatの上海市公式アカウント「上海発布」が大気汚染状況を100点満点で伝えてくれるのは役立った。
・上海は日本でいう銀座みたいな街並みなところが多かった。また、日本でいう新宿の高層ビル群をコピーアンドペーストしたと思えるほど、高層ビルがひしめき合っていた。
BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の三社(日本で対応するのはヤフー、楽天LINE)が中国国内を牛耳っているのを実感。特に街中でアリババかテンセント由来のサービス(配車、出前、シェアサイクル)を結構見る。
・上海は普通に夜出歩いていても大丈夫だった。流石に人気のないところには入ってはいないが。
・物乞いが結構いる。日本のホームレスとは違って積極的に小銭を求めてくると感じた。社会主義と言いながら実態はかなり資本主義的。
・至る所に中国共産党のスローガン的なものが掲げてあって、ここは来る前の自分の中国に対するイメージと同じだった。
 
    
 
 

交通

・バイクは電動しかないようだ。環境保全対策の一環だと感じる。普通に歩道を平然と走ってくる。日本での自転車の感覚だと思う。
・地下鉄が安い。2元~5元(日本円でだいたい32円~80円ぐらい)で行けない場所はほぼない。駅の改札入場時にいちいち荷物検査する。しかし、どうみても結構ガバガバで、建前上やってるだけだと思えた。
・地下鉄の路線は基本、○号線という名称になっていて分かりやすい。
・タクシーや配車サービスのDiDi(滴滴出行)を使い、車で移動することが多かった。第二種免許を取る面倒臭さを考えるとDiDiのような配車サービスが日本に普及するのはまだ難しいかなと感じる。
・乗ってて気づいたことだが、日本に慣れていると中国の車の運転は結構危ない。バックミラーが機能していない車(何故か前方の光景を映像で映しているとか)が結構ある。車線変更でウィンカーを出さない。クラクションめっちゃ鳴らす。クラクションは多分コミニュケーションツールなのだろう。
・新幹線は日本と大差ない。自分が乗った区間(上海~南京)はほぼ直線で、トンネルに入ることがほぼ無かった為、日本よりもむしろ快適だった。日中の地形的事情の差異を知らない外国人が両国の新幹線に乗れば、中国の方が良いと答えるかもしれない。
・また、新幹線の駅はセキュリティが空港に近いレベル。外国人はパスポートが必要。
 
    
 
 

日中のカルチャー

・中国では日本のアニメがよく観られているのだなと実感。アニオタじゃなそうな人も宮崎駿やナルト、ワンピースぐらいは知っている。
○○先輩が大陸へ進出しているのは知っていたが、語録を知っている人にまさか本当に遭遇するとは思わなかった。ここまで広まっているのに特定されないのは、正直訳がわからない。
・中国側からの発信が少ないためか自分は今の中国カルチャーに疎いんだなと思った。中国国内でも13億人という大きな市場があるので、国外進出する必要性を感じないのかもしれない。
・学生交流では自分は今の中国カルチャーには詳しくないが、漢文は勉強したぞとは言った。サンプル数が少ないので一概には言えないが、中国の中等教育では日本の古典に、日本での漢文教育ほど深くは触れないらしい。
 

 
 

教育と学生生活

・そこまで難易度が高くない大学を受ける場合でも入試に向けて相当な勉強時間を費やす。具体的な勉強時間も聞いたが、残念ながら忘れてしまった。中国の中堅大学の学生の方が、自分より大学受験に費やした時間多かったのは覚えている。
・小学生から詰め込み教育をされる。そのため、技術力は世界トップクラスになっても創造力には欠けるらしい。日本の強みは、金がない中で色々考えることで培った創造力とのこと。
・英語は小4から。
・江南大学(無錫市)の学生によると、バイトは1時間だいたい4050元(640800円)ぐらいらしい。家教(家庭教師)は遠くの案件が多いらしい。
・寮生活が普通で4人部屋に突っ込まれる。東大の三鷹寮の画像を刑務所っぽいでしょと中国の学生に見せたら、察された。
・中華料理の種類が多い分、食堂のメニューも多い。
 
 

その他個人的な感想

実際に自分が外国人として海外に赴いてみると、言語の壁からコミュニュケーションをうまく取れず、現地人をイライラさせたことが何度もあったように思う。特にタクシーの運転手に対してそのことが言える。日本で自分が外国人を見るのと逆の視点を今回体感することができた。
・行く前は正直どこまでが許されて、どこまでがタブーなのか全くわからなかったが、上海に関しては思ったより自由であると感じた。具体的には、中国は共産主義の国であるから西洋文化を排除しているのかなと勝手に思っていたが、地下鉄の駅構内で映画ボヘミアンラプソディや、ディズニーの広告があって安心した。
・中国の学生から日本ではVPNは使わないのかという質問が何回か飛んできた。中国の学生は自国で海外の情報へアクセスする際に何故VPNを使うのかをよく知らないようだ。あるいは日本でも同様にVPNは使われていると思っているようだったまた、VPN利用者が思ったより多かった。
・やはり人が多い。飲食店やスーパーへ行くと、こんなに人は要らないだろうと思うほど、従業員が居て驚いた。
・また、従業員が気楽な感じなのが印象的だった。暇な従業員が、客の目に入るところでスマホをいじったり、あぐらをかいたりしたら日本だと直ぐに炎上するだろう。しかし、中国ではそれが容認されているようであった。個人的には日本でも多少は容認されても良いとは感じるが。
・正直来る前は食の安全問題や鉄道事故、大気汚染といった情報から中国を侮っていた。しかし、そういった負の部分を中国では当然ながら改善しようとする動きがあるのを感じた。それは街の様子(街中に緑が多いこと、WeChatで市が大気汚染状況を提供していることなど)や現地での話(安全性の低い食べ物はメディアに晒されることなど)から実感した。
・そして、お世辞でもなんでもなく中国の技術革新は想像以上に進んでいて、その事実はしっかり受け止めねばならないことを今回の訪問で確かに感じた。